序 章 闇と光のせめぎ合い
一 ドルとピストル
二 カレル四世とヤン・フス
三 ゴシックの闇と光
四 ペストの闇と救済の光
第一章 チェコのゴシック教会堂とヴォールトのデザイン──チェコにおけるゴシック建築の芽生えと開花──
一 チェコにおけるゴシック様式の広がりと多様性
二 チェコの大都市の教会堂のヴォールト
三 チェコの小都市や村の教会堂のヴォールト
四 チェコの世俗建築のヴォールト
五 ゴシックの共通性・国際性と個性・独自性
第二章 カレル四世とチェコ・ゴシックの遺産
一 カレル四世の人物像
二 カレル四世の信仰と聖遺物崇敬
三 カレル四世の主な事績
四 カレル四世の「皇帝様式」
五 カレル四世の周辺の文化人
第三章 チェコ・ゴシックの華、「美麗様式」の誕生と受難
一 ヴァーツラフ四世の時代──ヴァーツラフの不穏
二 「国際ゴシック様式」のチェコ的分枝としての「美麗様式」
三 トシェボニの祭壇のマイスター
四 「美しい聖母」と「美しいピエタ」
五 「血痕聖衣の美しいピエタ」──「血痕聖衣の聖母」と「美しい聖母」の交差
六 チェコの宗教改革とゴシック美術
七 祈りと美の結合
八 《クシヴァークのピエタ》とミケランジェロの《ピエタ》──ゴシックとルネサンス
第四章 チェコ・ゴシックの文学と音楽──多言語状況の中でのチェコ語文学とチェコ音楽──
一 ゴシック時代のチェコの多言語状況
二 聖歌・叙事詩・年代記・聖人伝──チェコ語文学の誕生と、チェコ民族の自己表象および歴史意識の形成
三 カレル四世以降の時代の文学
四 「論争」──『ボヘミアの農夫』の「死」と、『織匠』の「不幸」
五 演劇──聖と俗、悲劇と喜劇、多言語の混交
六 チェコの宗教改革とゴシック文学
七 チェコ・ゴシック音楽──音楽の土着化
終 章 光を求める闇
一 光への志向
二 ゴシック大聖堂と装飾写本の光
三 補完的相関関係
四 外来のものとチェコのものとの交差──国際性と民族性
五 チェコ・ゴシックとチェコ・バロック
付表
付表一 カレルの戴冠式一覧
付表二 プラハの主なゴシック遺産
付表三 プラハ以外の主なゴシック遺産
付表四 南ボヘミア地方のゴシック宗教施設一覧
あとがき
図版一覧
主要参考文献一覧
注
人名索引
石川達夫(いしかわ・たつお)
1956年東京生まれ。東京大学文学部卒業。プラハ・カレル大学留学の後、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。広島大学助教授・神戸大学教授を経て、現在、専修大学教授・神戸大学名誉教授。スラヴ文化論専攻。
著書:『チェコ民族再生運動』(岩波書店)、『プラハのバロック』(みすず書房)、『マサリクとチェコの精神』(成文社)(サントリー学芸賞および木村彰一賞)、『黄金のプラハ』(平凡社)、『プラハ歴史散策』(講談社)、『チェコ語初級』『チェコ語中級』(大学書林)など。
編著:『チェコ語日本語辞典』全5巻(成文社)、『PDICデジタル チェコ語日本語・日本語チェコ語辞典』(Vector)
訳書:パトチカ『歴史哲学についての異端的論考』(みすず書房)、クロウトヴォル『中欧の詩学』(法政大学出版局)、チャペック『マサリクとの対話』、『チャペック小説選集』第1・2・6巻(『受難像』『苦悩に満ちた物語』『外典』)、マサリク『ロシアとヨーロッパ』全3巻(Ⅱ・Ⅲは共訳)(以上、成文社)、フラバル『あまりにも騒がしい孤独』、シュクヴォレツキー『二つの伝説』(共訳)(以上、松籟社)、『チャペックの犬と猫のお話』(河出文庫)など。
2016年イジー・ホスコヴェツ賞(チェコ)受賞
HP=https://tishi.jimdofree.com/