古今東西、世界各地において様々な形で飲まれている「酒」。日本酒、麦酒、老酒、ワイン、ウイスキーなど多種多様な「アルコール」は喉の渇きを潤したり、酔いをもたらすだけでなく、人と人をつなぐ触媒となり、はてはバッコスよろしく霊感を与えるものとして、様々な芸術家や文人を魅了してきた。本書は、世界の文学を題材にしながら、文学作品内で言及される「酒、アルコール」に関する記述を読解していくとともに、それぞれの時代や地域によって異なる愛飲の流儀を文化論的にも検討していく。
プロローグ 文酒のまじわるところ・酒と文学 沓掛良彦
第1章〈古代ギリシア〉酒神のいますところ 沓掛良彦
第2章〈バルカン〉飲む酒と飲まない酒 寺島憲治
第3章〈ドイツ〉ゲーテの愛と歌と酒と 藤川芳朗
第4章〈ロシア〉ドストエフスキー『罪と罰』のaqua vitae 近藤昌夫
第5章〈チェコ〉「居酒屋(ホスポダ)」という空間と小説の語り 阿部賢一
第6章〈フランス〉蒸留酒のイメージ──ゾラ、ユイスマンス、ジャリ 木元豊
第7章〈イギリス〉崇高への上昇と地獄への失墜──マルカム・ラウリー『火山の下』における酒の作用 小山太一
第8章〈ラテンアメリカ〉陶然の記憶──先スペイン期から現代まで 林みどり
第9章〈ペルシア〉ハーフェズの詩的世界における「酒」 佐々木あや乃
第10章〈日本〉酒の日本文芸史・試論 青木純一
第11章〈中国〉文学と酒と酒令──『紅楼夢』を例として 黄少光
第12章〈ベトナム〉阮攸作品における酒を中心に 野平宗弘
エピローグ 酒の世界、文学の世界 阿部賢一
青木純一(廈門大学外文学院日語系助理教授。文芸評論家)
阿部賢一(立教大学准教授)
木元豊(武蔵大学教授)
沓掛良彦(東京外国語大学名誉教授)
黄少光(廈門大学副教授)
小山太一(専修大学准教授)
近藤昌夫(関西大学教授)
佐々木あや乃(東京外国語大学准教授)
寺島憲治(東京外国語大学講師)
野平宗弘(廈門大学外文学院日語系助理教授)
林みどり(立教大学教授)
藤川芳朗(横浜市立大学名誉教授)