はじめに
第一章 国際海底ケーブル網の誕生
第一節 国際通信網の誕生と大北電信会社の日本進出
第二節 日本における電信網の整備と運用状況
第二章 明治初頭の国際電報利用一──岩倉使節団の電報利用──
第一節 岩倉使節団と留守政府の間の国際電報利用
第二節 少数に留まった各国政府関連の国際電報利用
第三章 明治初頭の国際電報利用二──台湾出兵と樺太千島交換交渉における暗号電報利用──
第一節 台湾出兵時の暗号電報
第二節 榎本武揚の外交暗号電報
第四章 大北電信会社に対する独占権付与
第一節 国際通信独占権付与に至る経緯
第二節 顕在化する独占権付与による弊害
第三節 計画倒れに終った太平洋ケーブル
第四節 国力の進展とともに強まった大北電信会社による制約
第五章 明治期の国際電報利用状況と料金の変遷
第一節 日清、日露戦争後の急増と料金の高止まり
第二節 主流をなす開港場の欧文電報と西日本の和文電報
第三節 急増する和文電報と進展しない欧米との伝送路敷設
第六章 日露戦争における無線電信利用
第一節 開戦前の準備状況と旅順港奇襲攻撃
第二節 旅順港閉塞戦と太平洋艦隊の出港
第三節 戦力集中に禍根を残した黄海海戦
第四節 戦況報告が届かなかった蔚山沖海戦
第五節 追加配備の和泉の活躍
第六節 無線電信の効果と課題
第七章 対外交渉でみる明治後期の国際通信政策
第一節 小村寿太郎と袁世凱による北京会議電信問題交渉
第二節 既成事実化を図る逓信省、軍部施策(一九〇六年)
第三節 林権助公使と山縣伊三郎逓相の対立(一九〇七年)
第四節 足かけ三年日清電信条約の締結
第五節 限界を示す対外交渉の成果
おわりに
註
あとがき
大野哲弥(おおの・てつや)
1956年、東京都生れ。立教大学経済学部卒業、放送大学大学院修士課程修了。1980年、国際電信電話株式会社(KDD)入社、東京国際電話局、大阪国際電話局、大阪支社総務部、広報室、販売促進部に勤務。現在PR代理店代表。放送大学非常勤講師。論文に「明治7年の陸軍省暗号の制定」、「西南戦争時の政府暗号補論」(近刊)。